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  • 「サケ弁当」、実はその多くが「ニジマス弁当」という嘘のような本当の話。

刺身やお寿司のネタとして食べている「サーモン」が、実は「ニジマス」であると知っている人は意外に少ないのではないでしょうか?日本で「○○トラウト」「○○サーモン」と表示される切身の多くは、外国(ノルウェーやチリ等)で海面養殖されたニジマスです。これらの名前は商品名であり、魚種を示す名前ではありません。魚種としてはニジマスのドナルドソン種、あるいはそれをベースにした交雑種ということになります。 「サケ弁当」や「サケ茶漬け」の食材も、その殆どがニジマスです。

2013年に大手ホテル・百貨店レストラン等のメニュー表示において、産地や食材の種類に関する虚偽表示が相次いで発覚しました。その食品偽装問題の際には、ニジマスを「サケ」の名称で販売していることも問題となりました。しかし、そもそも「お寿司のネタ」や「サケ弁当」や「サケ茶漬け」等々、商品が開発された最初の時点から「ニジマス」を使用しており、既に一般には定着している?との消費者庁の判断から「問題なし」とされました。消費者庁からは「シロ」のお墨付きは頂きましたが、それでも騙されているような感じがして個人的には納得出来ませんけどね。確かに同じサケ科の魚ではありますし、切り身を見れば見分けがつかない。アカニシ貝をサザエといって売ってたんだから、それよりマシか。(笑)

ニジマスは北海道の特産「銀鮭」と並んで最も一般的なサケ科の食材として大規模に養殖されています。ニジマスは鮭と同じで、淡水・海水のどちらのエリアでも棲息することが出来る魚です。富士宮市内で養殖されているニジマスもそうですが、日本で養殖されるニジマスは管理が容易な淡水で育てられた小型の種類で「陸封型」と呼ばれています。主に白身で塩焼きやムニエル、甘露煮として食べられています。それに対して海面養殖されたニジマスは管理が大変ですが(特に寄生虫)、大きく成長し,味も美味しく「降海型」と呼ばれています。銀鮭のように切り身が赤くなるように、養殖では赤系色素を混ぜた餌が使用されています。

最近のニュースによりますと、寄生虫アニサキスの心配がない「アニサキスフリー」の降海型トラウトサーモン(ニジマス)を養殖する施設が、静岡市清水区三保に日本国内初として、まもなく開業するようです。

陸封型ニジマスで最も需要があるサイズは20~23cm程度のもの。写真↓は三倍体の遺伝子により巨大化したサイズ60cm位の陸封型ニジマス。かなりの大型サイズですけど海降型のニジマスは110~120cmにまで成長するというから、それに比べたらまだまだ小さい。( 山梨県立富士湧水の里水族館にて )
ニジマス

by shibakin

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  • SDGsの観点から「ニジマス騒動」を考える。

富士宮市では、SDGs(エスディージーズ)の普及啓発や取り組みを推進しています。SDGsの Sは=Sustainable 意味は「ある資源を利用するときに、環境に悪い影響を与えず、使い尽くすことなく、継続的に利用できる」ということです。SDGsの観点から富士宮市が市の魚として外来種であるニジマスを制定したことに起因するニジマス騒動について考えてみました。
ニジマス×SDGs


客観的に語る事は難しいですが、それでも意識して客観的に、まずは世間の情勢から・・・・・

1 北海道では放流されたニジマスが繁殖しており、産卵がイワナよりも遅れて始まるため、ニジマスがイワナや他のサケ科魚類の産卵床を掘り返すことにより環境破壊が危惧されている。そのことから環境省では外来生物法(平成17年施行)で要注意外来生物に指定して、河川への放流には否定的な立場をとっている。北海道の他では富山県でも繁殖が確認されたという報告もある。佐賀県では移植が禁止されている。ニジマスは外来生物法に基づく飼養等の規制が課されるものでは無いが、生態系に悪影響を及ぼしうることから、利用に関わる個人や事業者等に対し、適切な取扱いについて理解と協力をお願いしている。要注意外来生物リストは平成27年3月に廃止され、同時に環境省と農林水産省が協同で、ニジマスを新たに産業管理外来種として指定した。

2 (公財)日本生態系協会は「ニジマスはサケ科の魚類の産卵床を掘り起こすなどの可能性があり、環境省が要注意外来生物に指定している」「教育現場でもニジマスなど外来種の放流はやめて駆除していこうと教えており、混乱を引き起こす」ということで、富士宮市が市の魚として制定することに反対の立場を表明した。(平成21年4月) 

3 市の魚として制定を計画していた富士宮市では、予想していなかった反対意見や抗議に対して困惑しつつも、特産品でもあるニジマスでヤキソバのような町おこしをしようと考えていた。市民にアンケートを行った結果、反対派は少数であったとの新聞報道がされた。そのうえで、市の魚としてニジマスを正式に制定した。(平成21年6月)一般市民の大多数はあまり興味が無く、ニジマス騒動の存在を知る人は少ない。

4 ニジマスの養殖を主導してきた水産庁(農林水産省)や静岡県水産技術研究所はメディアへを通して肯定的な意見を述べている。
 ・今までの調査では、放流されたニジマスが繁殖した例は本州では確認されていない
 ・現在、北海道の一部の地域での被害に限られ、全国的な問題に広がる恐れは低い
しかし、今後生態系や農林水産業に被害を及ぼす恐れも考えられるので、「これ以上の分布拡大をしない」ように、外来種被害予防三原則の「入れない、捨てない、拡げない」を守ることが必要とした行動計画を環境省とともに策定し、ニジマスを産業管理外来種として平成27年に指定、平成29年に管理指針を関係各所に通達した。

5 富士宮市非出資漁業協同組合が主催する「富士宮ますつり大会」は富士山本宮浅間大社の横にある神田川ふれあい広場とその脇を流れる神田川で毎年行われ、今年で第69回を迎える恒例行事となっている。その中で“育て鱒(マス)ター”と題して約1カ月間にわたり自宅で卵から育てたニジマスの稚魚を放流するイベントが行われている。平成29年度からは農林水産省からの産業管理外来種に関する管理指針の通達を受けて、個人での私的放流は禁止された。しかし、魚協が管理するなかで神田川への放流イベントは継続して実施されている。
ニジマス祭り

6 第三者的な外部(釣り人)の考えは、静岡県の場合、山奥の渓流には放流されておらず、その殆どが、交通の便の良い場所なので、放流されたニジマスはほぼ釣り切られてしまう。仮に越冬しても、繁殖できない品種(三倍体)なので、放流されたニジマスは自然消滅してしまい、状況を見ながら漁協が管理できると考えている。釣り人のエゴであることや自然環境への懸念は認識しつつも、ブラックバスとは導入目的や管理体制も違い、放流は許される範囲であるとの肯定的な声が現時点では多い。

以上が、世間の情勢だと思います。・・・・以下、完全に私見で、偏見もあります。

商店街の歩道に出ている看板や鉢植えを「違法である」として商店街の店主と争いをしている90歳を過ぎた「正論おじさん」が世間で話題となっています。本人は世のため人のためと正義感をもってやっています。その手の活動家が一番やっかいです。宗教もそうですが、原理主義に徹底すると、考えが過激になって世の中が上手くまわりません。そこがまず基本にあって、↑釣り人のような考え方が、多くの人に受け入れられる考えかただと思います。

ニジマスは法律(外来生物法)の精神からして、違法とは言えませんが河川への無制限放流はよろしくありません。市の魚として制定するのはOKですが、学校教育の一環として放流イベントを行うのであれば↓環境教育上、このように教えなければ問題が多く発生します。(歴史文化教育とは別次元です。)

「あなた達が育て放流した魚の子孫は、この川には戻ってきませんので安心してください。殆どが直ぐ死んでしまい、大きくなったとしても子供を作らずに、餌となる虫や他の魚も、現在の環境に対して問題にならないほどの少量だけ食べて皆死んでしまいます。」

親や先生達が誘導したいストーリーとだいぶ違ってくるので、困惑するでしょう。現在行われている事実上の神田川への放流は、前提として漁協の管理下にあるという「法律上の解釈」があります。純粋無垢な子供達から見れば法の精神に反する(違法とは言えませんが・・・)と思えることも、日本では解釈によって法律はどうにでもなるといった実例を実践することになります。どうせ開き直るんだったら自虐的にそう教えるのも良いかもよ(笑)

「富士宮ますつり大会」で行われる神田川へのニジマス放流は69年も続いており、既に「歴史文化」となっています。このニジマス騒動は「歴史文化(産業振興)」VS「自然環境」という構図でもあり、そもそも争点が違うので決着するためには行政が判断するしかありません。

by shibakin